だから、お前はほっとけねぇんだよ

「あっそうでしたか」


わざとトゲのある物言いで、あたしは琥侑に言う。

見かねたゆっちはすぐさま仲裁に入ってきた。



「もーケンカしない!佐賀里くんはどっか行きたい所とかある?」



そしてゆっちは琥侑に修学旅行のしおりを渡す。



「……ヒメ、これいつ行くわけ?」


「え?10月20日からだけど……」


「へーあと1週間ないじゃん」



琥侑は機嫌がすっかり戻ったようで、ゆっちから渡されたしおりをパラパラめくっている。




「……楽しみだな」


「へ?」



あたしを見ながら笑った琥侑に、不覚にもドキッとした。


な、何が……?



「……バーカ、旅行の事だよ」


「あぁ!うん、そーだね」



あたしは高鳴る鼓動を隠し、あははっと焦り笑い。

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