だから、お前はほっとけねぇんだよ

「きゃーきゃー‼無理ー心底無理ー‼‼」



えいえいっとめくったカッターシャツでゴキに対抗してみるものの、全く命中しない。


それもそのはず。

あたしはもう片方の手で目を覆っているからだ。



「なっ!?どうしたヒメ」



騒ぎを聞きつけた琥侑が慌てた様子で風呂場へ入ってきた。



「ご、ご、ゴキが……ゴキブリがァ~‼‼」


「わ、わかった。わかったからちょっと落ち着け」



琥侑はそう言うとあたしの履いていたスリッパを取り上げ、バチンバチン!とゴキブリを数回叩いた。

……その間、ものの数秒。



「こ、怖かったァ~~~」


「はいはい」



琥侑は抱きつくあたしをまるで子供をあやすかのように、ポンポンと背中を優しく叩く。



……さて、


あたしは肝心な事をすっかり忘れていた。



あたしはカッターシャツを脱いでる。

……つまり上はブラのみという事。

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