だから、お前はほっとけねぇんだよ
「あたしたちの居る場所では禁煙です」
「あぁ……そうか。すまん」
先生は伸ばしていた手を引っ込めた。
「お前らもう帰って良いぞ」
「「は?」」
あたしと琥侑は二人揃ってあんぐり、口を担任に向かって開く。
「え……?な、何で??」
あたしは訳がわからず、思い切って益森先生に訊ねてみる。
「ん?いつも冷めた佐賀里の本心が聞けたから俺は満足だ」
「は、はぁ?」
「さ、早く部屋帰って寝ろ。明日は早いぞ」
「おらおら」と言いながら、益森先生は右手でシッシとあたし達をはらう。
「観月、お前は良い男を捕まえたな」
「へ……」
帰り際、益森先生にそっと耳打ちされて目をシバシバさせたあたし。
そんなあたしに先生はニコリともせず、ただ真顔であたし達が出て行くのを見ていた。
――パタン
「何か……バツとか無くてよかったね……?」
チラッと琥侑を横目で見ながらあたしはオズオズと言葉を述べた。