だから、お前はほっとけねぇんだよ

「へ……?」


い、今なんと……?



「好きなのか?ナツのこと」


「んなっっ!?」



バカ正直なあたしの頬はポポポーっと一気に紅潮する。


「こっ、琥侑にはカンケーないでしょ‼」



何だか恥ずかしくなって、あたしは琥侑から視線を逸らした。

そんなあたしを琥侑は笑う事無く、ただ見据えるだけ。



「……?こ、琥侑?」



何?
何だか怖い……


いつもと様子が違う琥侑に、あたしは妙な感覚に飲み込まれる。


あたしの言葉に返事をしない琥侑のせいで、会話のキャッチボールは途切れてしまった。




「…………」


「…………」



長い沈黙にあたしはもう限界が近いんだろう。

今にも咳き込みそうなくらい、渇いた喉。
強く握った拳には微かに爪の跡。



渡り廊下だというのに、偶然なのか全く人が通らない。


もうすぐ授業が始まるから、もうみんな教室に入ってしまったのだろうか。


とにかく、ふたりきりの空間を早く抜け出したい。




つーか、マジで逃げたい……

だってこの状況……琥侑にはなっちゃん好きなのバレちゃってるわけでしょう?



あーもー‼

最初に言うのはゆっちって決めてたのにー!





「やめとけ」


「へ?」

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