だから、お前はほっとけねぇんだよ
「ババァ……てめぇ」
「ん?本当のことでしょう?」
キレ気味の琥侑に満面の笑みを浮かべる理英子さん。
さ、さすがに理英子さん……
やりすぎなんじゃない??
「くそっ」
案の定、すっかりご機嫌ナナメになってしまった琥侑は、家へと続くドアへ消えて行った。
「だ、大丈夫なんですか?」
「あぁ、大丈夫大丈夫ー‼拗ねてるだけよ。
さ、ヒメちゃんも仕事戻って!」
「はーい」
あたしは理英子さんに促され、レジへと戻った。
……琥侑が言っていた通り、夏休みと比べて随分と客足が増えてる『La chérie(ラ・シェリエ)』。
改めて、タウン誌の影響ってすごいなァと実感。
琥侑、まだかなぁ……
家の手伝いするって言ってたのに。
――カチャ
ドアの開く音がして、あたしはそちらへ振り返る。
「琥侑?
……って、えぇ!?何その格好は‼‼」
ドアから現れた琥侑は、何故か琥侑パパの俊太さんと同じようなシェフみたいな白いエプロンをしていた。
「何って……手伝うために決まってんだろーが」