だから、お前はほっとけねぇんだよ

……どうやらあたしは驚かせすぎたみたいで、琥侑はチョコレートケーキに右手をぶっこんでしまった。



「ヒーメー……」


「ご、ごめ……ワザとじゃないんだけど……ないんだけど……」



あまりに恐ろしい琥侑の視線に、ごにょごにょと語尾を濁すあたし。


視界に入ってきたチョコレートケーキは、大きな穴がバッチリできている。



どっ、どどどうしましょう……



「……こんなになったのお前せいなんだから、全部食えよな」



フンッと鼻を鳴らし、手を洗いに琥侑は水道へと向かう。



「へ……た、食べて良いの?」


「じゃなきゃどうすんだよケーキ」



あたしは傍にあった椅子に腰掛けて、大きな穴が開いたチョコレートケーキを味見してみた。



……あれ?



「ったく、親父に味見してもらうつもりだったのに……」


「ちょ……琥侑!琥侑‼」



ぶつくさと独りで不機嫌になっている琥侑を、あたしは必死で呼ぶ。



「このケーキ、もしかして琥侑のオリジナル!?」

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