だから、お前はほっとけねぇんだよ
「……そうだけど」
照れたのか、口を尖らせながらあたしから視線を逸らす琥侑。
「す、すっごーい!」
お店のチョコレートケーキの甘い感じと比べて、しっとりとビターが入っている。
ビターが入っている琥侑のケーキは、甘さが控えめでおいしい。
しかも、穴が開いてなかったらプロが作ったみたいに綺麗なケーキだ。
これを、琥侑が考えて作ったなんて……。
「スゴイおいしい‼スゴイ上手!」
「……どーも」
琥侑はそう言うと、「はい」と言ってあたしにフォークを渡した。
あたしは渡されたフォークでどんどんとチョコレートケーキ食べていく。
「お前よく食うよなぁ……」
「まーね。んっ……でもなんで琥侑、ケーキ作りしてんの?」
質問をしながらも、あたしはフォークを持つ手の動きを止めない。
そんなあたしに、琥侑は渋い顔をした。
「……笑うなよ」