だから、お前はほっとけねぇんだよ
「あのぅ~……」
「「っっ!?」」
遠慮がちな声が聞こえたかと思うと、厨房の入り口に気まずそうな表情を浮かべた琥侑のお父さん、俊太さんがいた。
「おっ親父‼何だよ!?」
「何だよって……お前が呼んだんだろ‼
なのに来てみたらヒメちゃんとイチャついてるし……」
そう言ってチラッとあたしを見た俊太さん。
「す、すみません……」
「いいんだよヒメちゃん。今だって抱き寄せたのはコイツだったし」
ニヤリと怪しい笑みを浮かべた俊太さんに、琥侑はギョッと目を見開く。
「な゙っ!?見てたのかよ‼‼」
「まぁまぁ。
お、もしかして食べて貰いたかったのって、この穴の開いたチョコケーキ?」
嫌味っぽく言う俊太さんに、「ゔっ」と顔を歪めた琥侑。
そんな琥侑を横目に俊太さんはパクリ、とあたしが食べていたケーキを味見した。
「んー……」
もぐもぐと口を動かす俊太さんに、作ってないあたしにまで緊張が走る。
しゅ、俊太さん……
どういう反応するかな……?