だから、お前はほっとけねぇんだよ
「まぁ、いたって普通だな」
「え……」
あたしは思わず声を漏らした。
うそ……
あんなにおいしいって思ったのに。
「でも、ちょっとくどい感じするな。苦味が強い。ビターが少し多いんだな」
そう言ってまた琥侑のケーキを口にする。
「まだまだ、ってトコかな」
すごい、俊太さん。
2回口にしただけなのに、微妙な味のことをバンバン言っちゃってる。
さすが……プロ。
「……サンキュ親父。明日もう1回作ってみるよ」
そう言って俊太さんを見つめる琥侑の視線は、強い何かを感じさせる眼差しだった。
「ヒメ」
「っは、はい!?」
突然名前を呼ばれたので、正直びっくりしながらアタシは返事をした。