だから、お前はほっとけねぇんだよ

「何か琥侑を見てると、昔の自分思い出すよ」


俊太さんは優しく、目を閉じる。



……そうだよね。


俊太さんなんて自分で店を開業したくらいだもんね。

きっと熱い男だったんだろうなぁ……。



「でもお前は俺とは違う」



すると突然、俊太さんの声色が変わる。



「お前には独特の感性がある。基本を学べばきっと、最高のスイーツを作れるだろう」


「……?何が言いたいんだよ」



俯きながら話す俊太さんを、琥侑は眉をひそめジッと見据える。

そして俊太さんは顔を上げた。




「琥侑。お前、来年の春……


フランスに留学しないか?」



ドクンとなったあたしの心臓。

その瞬間、鞄を持つ手の力が抜けていった。



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