だから、お前はほっとけねぇんだよ
「ごめん、急に飛び出して。……寒いでしょ?」
……11月の夜はもう冷たい。
琥侑はエプロン姿なので、かなり薄手で寒そうだ。
すると琥侑はあたしの背中に手を回し、そっと自分の方へ引き寄せた。
「……寒いよ」
琥侑の口から漏れる息があたしの髪に当たるのが分かって、何だか恥ずかしい。
「…………」
あたしはただ黙って、きごちなく琥侑の背中に手を回した。
「……行かねぇから」
ふいの琥侑の一言。
あたしはその一言を聞いて、琥侑から少し距離をとる。
「……え?」
あたしは驚いて、かすれた声しか出なかった。