だから、お前はほっとけねぇんだよ


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―――――


「ヒメちゃーん!ちょっとこっち来てー」



ガヤガヤとする店内。

休日という事もあり『La chérie(ラ・シェリエ)』は繁盛している。





結局、あれから俊太さんの口からも琥侑の口からも“留学”という言葉を聞くことはなかった。


きっと、琥侑はあたしの知らないうちに俊太さんに留学の件を断ってしまったんだろう。



納得いかないはずなのに、喜んでいる自分もいないわけじゃない。

……何だか、あたしってこんなに嫌な奴だったんだって嫌でも実感した。





「これ外に出しといてくれるかな?」


「はい、分かりましたー」



あたしは理英子さんから差し出された、ミニ黒板のような看板を持って店内を出た。



――カランカラン♪

爽快な音をたてて扉が開く。



「うーさむっ……」



暖かかった店内とは打って変わって、外は風が吹いていて鳥肌が立ちそうなくらい寒い。

あたしは早く店に入りたくて、ドアの傍に急いで看板を立てようとした。



――ガチャンッ


「っわ!?」



……サイアク。


急いでしまった事がアダになり、看板は派手な音をたてて倒れてしまった。

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