だから、お前はほっとけねぇんだよ
「で?話したい事って何だよ」
「うん……あのね」
……そう呟いて、あたしは言葉を止めた。
どうやって話せば良いんだろう。
ていうか、自分の気持ちのどの部分から話せば良いんだろう。
気持ちの整理が不十分だというのに、琥侑を呼び出してしまった自分に少し後悔した。
「なあ、大した話じゃないんだったらもう帰ろうぜ?いい加減寒そうなんだけど」
「へ?」
あたしのスカートを指差し、琥侑は顔を歪ませる。
「あ、大丈夫‼タイツもブーツも履いてるし」
「ふぅん……?ならいいけど」
そうやって半信半疑の琥侑だって、エプロンの上にダウンを羽織っただけで足元とか結構寒そうだ。
それでも、自分の事より相手を気遣う琥侑。
やっぱり……琥侑はやさしい。
「ねぇ琥侑……」
「あ?何だよ?」
少しだけ口角を上げて、琥侑はあたしを見た。
緊張と不安で、少し鼓動が速まる。
「フランス……行って来てよ」