だから、お前はほっとけねぇんだよ
「……今帰ってるとこだけど」
少し薄暗い辺り。
懐かしいタイヤ公園が見えてきた。
『は?マジで?』
「うん」
素っ頓狂な琥侑の声に、あたしは首を傾げた。
「何でそんな事聞くの?」
『いや、別に……』
曖昧な琥侑の返答を不思議に思いながら、あたしはタイヤ公園の前を通過した。
「最近どう?俊太さんとのスパルタレッスンは」
『まー、ぼちぼち』
「大変?」
『留学まで1ヶ月切ってるし、しょうがねぇよ』
そう言った後、琥侑の乾いた笑い声が聞こえて、あたしは少し不安になった。
きっと、すごい疲れてるんだろう。
「練習も大事だけど……無理、しないでね」
『バーカ、わかってるよそのくらい!』
「ばっ……!?」
バカァ!?
何コイツ、心配してやってんのに……‼
「ね、ねぇ。留学っていつまでなワケ?」
ムカムカする気持ちを抑え、あたしは平常心で琥侑に聞いてみた。