だから、お前はほっとけねぇんだよ

「……っ‼」


あたしは我に返り、口を閉じた。



……“淋しい”。

思わずそう言ってしまいそうだった。



「な……に、恥ずかしい事、言ってんの‼」



あたしはスマホを持ってない方の手で流れた涙を強く拭いて、すくんでた自分の足を無理やり歩き出させた。



「あたしが琥侑にフランス行けって言ったんだよ?なのに今更……」



ホント、何で今更淋しいとか思ってんだろ。

自分から言った事だっていうのに……。



「今更淋しいとか……それなら最初から行けって言ってないし」



自分で言いながら、何だか本当に虚しかった。



さっきまで何が何でも琥侑の力になるって意気込んでたくせに、もうすっかり11月の自分に逆戻りしてる。


何て言うか……自分でも情けないくらい意志が弱すぎる。



でも、今日は電話に救われた。


こんなに涙流したって、目の前に琥侑はいない。

顔の表情なんて伝わらないし、今の弱々しいあたしを見られなくて済む。




「~~っ

だから琥侑もそんな事言ってないでもっと楽――」

< 358 / 399 >

この作品をシェア

pagetop