だから、お前はほっとけねぇんだよ
「……っ‼」
あたしは我に返り、口を閉じた。
……“淋しい”。
思わずそう言ってしまいそうだった。
「な……に、恥ずかしい事、言ってんの‼」
あたしはスマホを持ってない方の手で流れた涙を強く拭いて、すくんでた自分の足を無理やり歩き出させた。
「あたしが琥侑にフランス行けって言ったんだよ?なのに今更……」
ホント、何で今更淋しいとか思ってんだろ。
自分から言った事だっていうのに……。
「今更淋しいとか……それなら最初から行けって言ってないし」
自分で言いながら、何だか本当に虚しかった。
さっきまで何が何でも琥侑の力になるって意気込んでたくせに、もうすっかり11月の自分に逆戻りしてる。
何て言うか……自分でも情けないくらい意志が弱すぎる。
でも、今日は電話に救われた。
こんなに涙流したって、目の前に琥侑はいない。
顔の表情なんて伝わらないし、今の弱々しいあたしを見られなくて済む。
「~~っ
だから琥侑もそんな事言ってないでもっと楽――」