だから、お前はほっとけねぇんだよ
……目の前の光景に、思わず息が止まりそうになる。
あたしの家の目の前に、寒そうに肩をすぼめた琥侑がいた。
その姿を見て、あたしはゆっくりとスマホを持っていた左手を耳から離した。
「……こう?」
あたしの聞こえるか聞こえないかの声。
そんな声に琥侑は気づき、あたしの方を見た。
……どうして?
どうして琥侑がいるの……?
「……おせぇよ」
不機嫌な表情とは裏腹に、優しい声色。
「どうして……?琥侑の家、遠いのに……」
「いや、なんとなく」
琥侑はそう言うと、驚いて立ちすくんでいるあたしに近づいてくる。
そして、あたしの頬に琥侑の冷たい手のひらが触れた。
「……何泣いてんだよ」
……もう涙は乾いていたのに、琥侑は頬を擦って涙を拭く素振りを見せる。