だから、お前はほっとけねぇんだよ
「やめてっ」
……また泣いてしまいそうだったので、わざと意地を張り琥侑の手を払った。
「あたし今泣いてないじゃん」
「……何でそんなに無理するわけ?」
あたしの言葉をまんまとスルーして、さっきスマホ越しに言った言葉を口にする琥侑。
そんな琥侑に、あたしは俯きながらムッと顔を歪めた。
「……だから、無理なんかしてないって」
「じゃあ何でこっち見ねぇんだよ」
琥侑はそう言うとあたしの頬を掴んで、無理やり顔を上げさせた。
「少しは本当のこと言えよ」
ひゅうっと肌寒い風が二人の間をすり抜ける。
と同時に、あたしの目からポロッと涙が零れた。
「何で……何でアンタいっつもそうな訳?」
いつもそうやって人の気持ち見透かして、背中押すような……そんな言葉くれるの?
そんな言葉言われたら今まで我慢してきたもん、全部無駄になっちゃうじゃん……。
「言わない……言いたくない」
あたしはどんどん溢れる涙が恥ずかしくて、瞼をギュッとつぶって下唇を噛み締めた。