だから、お前はほっとけねぇんだよ


――――――――
―――――


……あの日から。

琥侑がおかしくなったのはあたしが本音を言った、ちょうどあの日からだった。







「ねー姫瑚、佐賀里くんはいつフランス行くんだっけ?」



あの日から2週間ぐらいたった日。

昼休みにゆっちが何気なく聞いてきた。



「それ前も聞かなかった?終業式の3日後だよ」


「ふーん、ホント……後ちょっとになっちゃったね」



あたしを気にしながらそう言うゆっち。



「そんなしんみりしないでよー!あたし大丈夫だから」


「へ?何で?」



驚いたようにパチクリと瞬きするゆっちに、あたしは「ひみつぅ~」とニンマリと笑った。





……あの日、あたしは琥侑に本音を吐いた。

すると思いのほかスッキリして、センチメンタルな気持ちが少し和らいだ。


自分で片付けようって思う事で、逆に自分に重圧を掛けていたのかも。




「まーよかった、元気になって。姫瑚、この間まで元気無かったでしょ?」


「へ?」



目をパチクリさせるあたしに、ゆっちは「ほら、2人で買い物言った日ぐらいまで」と付け足す。



「ゆっち、気づいてたんだ……」

< 363 / 399 >

この作品をシェア

pagetop