だから、お前はほっとけねぇんだよ
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「……ねぇ」
ざわざわと行き交う人々。
大きなキャリーバッグを持っている人も沢山居る。
「他の人は?いないの?」
青いキャリーバッグを横に立てて、ロビーで座っていた琥侑にあたしは話しかけた。
「……来ねぇよ」
琥侑は低くそう呟くと、ゆっくりソファーから立ち上がる。
「へ……」
「今日はお前と二人で話したかったからな」
そうやって意地悪そうに口角を上げる琥侑は、出会ったあの日と全然変わらない。
『落としたぞ』
……ちょうど1年前。
あたしたちは出会ったんだよね。
あの時はまだ琥侑のことなんて好きじゃなくって、まさか付き合う日が来るなんて思っても見なかった。
だけどいつの間にか、こんなに大好きになって……
何だか不思議。
でも、それも今日で終わりなんだよね。
「この間は悪かった」