だから、お前はほっとけねぇんだよ

「おいコラ、何ぶっさいくな顔してんだよ」


「わぁッ!?こ、琥侑‼」



声をかけられるまで全く琥侑の存在に気づいてなかったあたしは、驚いて目を見開いた。


琥侑は眉間にシワを寄せて、何とも偉そうな顔であたしの横に君臨している。



「ぶっさいくって……余計な事だし‼」


「はいはい、そーですか。すみませんね」



誰が聞いても棒読みとわかる口調の琥侑。


っとに、コイツだけは……

あたしは琥侑の態度に苛立って、奥歯を噛み締める。


そしてふと、思い出した琥侑の言葉。



『ナツはやめとけって言ってんだよ』

『あ、好きなこと誰にも言うなよ』



……そっか。


「全部わかってたってことか……」


「あ?……何が」


「なっちゃんの気持ち。わかっててあんな事言ったんでしょ?」



あたしが静かにそう言うと、さっきまで寄せてた眉が元に戻っていく。

……図星ってことか



あの時、渡り廊下で言った言葉。

ただ意地悪で言っただけだと思ってたけど、本当は琥侑なりの忠告だったんだ。



……本当のバカはあたしだ。

琥侑が言った言葉に腹が立って、悔しくて、反発して、結局は諦めようとしてる。


ホント……バカすぎる。

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