だから、お前はほっとけねぇんだよ
「なんで早く起こしてくれなかったのよ‼」
あたしはスマホを片手に、急いで服を着替える。
そして着替えながら、テレビもつけた。
……器用だなぁ、今日の自分。
『何回も電話かけたわよ‼アンタが出なかっただけでしょ!?』
「そんなん知らないよ‼」
起きなかったんだから意味無いでしょ!?
……と、あきらかに八つ当たりしてみたり。
『とにかく‼急ぎなさいよ!?今日は大事な日なんだからね‼‼』
ブッ!、と大きな音をたててゆっちからの電話が途絶えた。
「……分かってるよ、言われなくても」
一方的に切られた電話に、あたしはぷーっと頬を膨らませる。
《今日の特集は、今大注目の人気イケメンパティシエ、佐賀里琥侑さんですー!》
「っ‼」
……テレビから聞こえてきた彼の名前に、あたしの胸は思わずドキンと脈打った。
《佐賀里さん、若手ながらヨーロッパで数々の賞を総なめにしてきた方なんですよ》
《知ってます知ってます!スイーツ王子、ですよね?》
ブラウン管の中で騒ぐ女性アナウンサー。
あたしの鼓動は鳴り止まない。