だから、お前はほっとけねぇんだよ

―――――
―――


少し汗ばんだ自分の服が背中にベットリとくっついて気持ち悪い。

あたしは、シャンパンを手に持つある人物に息荒く言う。



「ご、ご結婚……お、おめでとぅ」



電車を乗っている以外は走ってきたおかげで、本来、結婚式場まで40分かかるのを25分に抑える事ができた。


それでも、歳のせいかかなり息があがり、死ぬかと思うくらい苦しい。



「うん。こんなに急いできてくれて……ありがとうヒメちゃん」



そう言って爽やかに微笑むのは……高校卒業して以来のがっくん。

がっくんはシルバーのタキシードを着て、本当に幸せそうだ。



「まさかがっくんが一番に結婚するなんてね。マジでビックリしたよ」


「俺もだよ。みんな、以外に遅いもんだね」


「ねーほんと」



そう言ってあははと二人で笑い合う。


すると、


「姫瑚‼」



甲高い声であたしを呼ぶ声が……ひとつ。

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