だから、お前はほっとけねぇんだよ
その言葉を聞いた途端、あたしの両腕からストンと力が抜けていく。
と同時に、ゆっちは苦しそうな笑顔を無理やり浮かべた。
「……ごめんね、姫瑚」
そう言ってゆっちはあたしから離れて行った。
残されたのは、虚しさのあたし。
『人の気持ちは変わるのよ?』
……そんなの、最初からわかってる。
ただ、期待してただけ。
ゆっち達が大丈夫なら、あたしだって……琥侑だって、好きでいられるって。
会わなくったって、連絡しなくたって……想いは一緒だって。
『フランス……行って来てよ』
あの時の選択が間違ってたとは思わない。
現に、琥侑はパティシエになるという夢を叶えた。
でも……、
その中に、もうあたしはいないのかな?
「…………」
するとちょうど、視界になっちゃんが見えた。
卒業以来のなっちゃんは、もう前髪をちょんまげになんてしてなくて、あたしの知らない人と楽しそうに笑っている。
琥侑……。
アンタもそうなの?
アンタもそうやって、あたしへの想いを無しにしてしまったの――……?