だから、お前はほっとけねぇんだよ

「ヒメちゃん」


ゆっくりと後ろを振り返ると、微笑んだがっくんがいた。



「がっ……くん」



渇いた喉のせいで、あたしはかすれた声しか出なかった。

そんなあたしを気遣ってか、がっくんは手に持っていたシャンパンをあたしに差し出す。



「あ、ありがと」



がっくんのご好意に甘えて、シャンパンを一口だけ貰った。

冷たい炭酸が、シュワッと喉で弾ける。



「ねぇ、ヒメちゃん。ヒメちゃんってケーキ好きだったよね?」


「え?うん」



それが何?


あたしは不思議に思いながら、首を傾げた。



「今度、ここら辺の近くに新しいケーキ屋さんがオープンするんだって」


「へー!そうなんだ」


「俺、丁度そのオーナーと知り合いでオープン記念パーティーに誘われたんだ。でも仕事でいけないから、ヒメちゃんが変わりに行ってくれない?」


「へ?あたしが行っていいの?」



「うん」とがっくんはニコニコしながら頷く。

……何だか笑顔が完璧すぎてすごい怖い。



「じゃあ……行こっ、かな?」



がっくんの笑顔の完璧さに負けて、あたしはオーケーを出す。


すると、がっくんはパーティーの招待状をくれ、「頼んだよー」と言って何処かへ行ってしまった。

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