だから、お前はほっとけねぇんだよ

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開店パーティー当日。

あたしは先日の結婚式のように遅刻はせず、バッチリ開始時間の前にやってこれた。



そしてあたしは唖然とした。



「……は?」



外見からして、『sweet pallet』は未完成だ。


看板の部分になるところは灰色のビニールで覆われてるし、外から見える中は明らかに殺風景だ。



何コレ。

何かのドッキリ?


がっくんの悪戯か何か?



あたしはそんな事を思いながら、恐る恐るドアを開いた。



――カランカラン♪


ふわっと優しく香ったのは甘い生クリームの香り。

中はケーキのディスプレイもまだだし、テーブルも一つしか出てない。



……でも、この甘い香り。

ケーキ屋さんだ。



「いらっしゃいませ」


「っわ……」



声をかけられるまで気付かなかった、人の存在。

あたしは驚いて小さく声をあげた。



「あ、どうも……」



にっこりと笑うウエイター風の服装をした爽やかな男性に、あたしは軽く会釈をする。

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