だから、お前はほっとけねぇんだよ
「今“なんで知ってんの?”て思っただろ」
「いや、それよりあたし“ひめこ”じゃないし」
するとそいつは「は!?」と驚いたような声をあげると、こっちに走り寄ってくる。
「ほら」
あたしは手に持っている生徒手帳を見せた。
そこには、あたしの名前、
“観月 姫瑚”の文字。
「おまっ……どー見てもコレ“ひめこ”だろ!?」
・・
「や、違うから。観月きこだから」
あたしがさらっと言いのけると、そいつは絶句した。
つーか、何その間違い……
ちょっとウケるじゃんか。
――キーンコーンカーンコーン……♪
えぇっ!?
もうこんな時間!?
あたしは授業の始まりのチャイムに焦って、口をあわあわと動かす。
「ぷ、お前遅刻するぞ?」
「あ、あんただって……」
「俺さぼるし。じゃーな観月ひめこ」
「“ひめこ”じゃなくて“きこ”だから‼」
あたしはアイツをその場に残し、理科室に向かって猛ダッシュ‼‼
……結局アイツのせいで完全に遅刻。
先生にめちゃくちゃ怒られちゃったよ。
もう、さいっあくだ……。
.