だから、お前はほっとけねぇんだよ
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全てがオレンジ色に溶ける放課後。
誰もいない教室で、あたしは窓の外を見つめていた。
窓越しに見えたのは幸せそうに微笑んだ、ふたりの姿。
手は指と指を絡めて、しっかり握っている。
あたしにその手が差し伸べられる可能性は……もう無い。
「何なのあたし……」
醜過ぎる。
親友の幸せ。
恋しい人の幸せ。
とても嬉しい出来事が、素直に喜べない。
あたしがその幸せの中に入れてないから?
付き合った相手が大好きな親友だから?
……どっちでもいい。
どのみち二人の幸せを願えないあたしは、最低なんだから。
「ヒメ」
あたしは見つめていた窓から視線を外し、声のする方向へ移す。
「……琥侑?」
小さな声で彼の名前を呟いた。