だから、お前はほっとけねぇんだよ
琥侑は何も言わず、ただ無言であたし座っている隣の席に座った。
外からは野球部の掛け声が聞こえてくる。
「……琥侑の言う通りだった」
「あ?」
「諦めるとか、あたしのただのキレイゴトだった」
あたしは琥侑とは目を合わせず、淡々とした様子で言った。
本当は今あたしに余裕なんて1ミリもないけど、素直になればきっと想いは止められない。
溢れ出して、何もかもを壊して最後は汚く散ってしまう。
「……お前、バカじゃねぇの」
「え…」
……何で琥侑って人は、相手を思いやる心を持ってないんだろう。
どうしてこんなに悩んでる人に、バカだのボケだの言えるんだ?
そんな意味不明な琥侑に、あたしは呆れてものが言えない。
「諦めきれねぇなら言えよ、その気持ち」
「は?」
気持ちを、言う?
「な、何言って……なっちゃんはもうゆっちの彼氏なんだよ!?」
琥侑のストレートな言葉に少し戸惑う。
つーか、今更言ったってどうにもなんないじゃん!?
「じゃあ何でお前は悲しんでんだよ」