だから、お前はほっとけねぇんだよ
『バンソーコーはバンソーコーだろ』
あれから月日は経ち、いつの間にかジメジメした梅雨の季節に突入していた。
もうあの時から1ヶ月経ったというのに、厄介な事があたしの中で起きていた。
『お前はまだ、悲しむほど努力してねぇ』
あの日言われた琥侑の一言が、どうも頭から離れない。
頭の中から何度も何度もリピートされて、あたしの中でグルグル……。
もう、なっちゃんの件は終わったはずなのに……
どうして?
「姫瑚~」
休み時間中、てんちゃんがヨロヨロとあたしの席まで寄って来た。
……あれ?
そういえば……
てんちゃんとは入学式以来、全く会話していないような……?
「どうしたの?珍しい……」
「ちょっと……聞きたいことあって」
「聞きたいこと?」
あたしが首を傾げると、てんちゃんはダークなお顔で黙りこくる。
……何だろ?