だから、お前はほっとけねぇんだよ
「じゃあ今週中に、ココに行ってね?俺、言っとくから」
そう言ってがっくんが渡してきたのは、お店までの地図。
……このお店、学校から見てあたしの家とは反対方向の地域だ。
でも、
そう遠くはないし、夏休みでもちゃんと通える距離だし……
うん、大丈夫!
「わかった」
がっくんは今週中で良いって言ってたけど、居ても立っても居られなくなったアタシ。
だから放課後、さっそくバイト先に行ってみることにした。
いつもと反対方向の電車に揺られながら、あたしはがっくんから貰った地図を握り締めていた。
……バイト先、楽しそうな所だったらいいな。
なんて淡い期待を胸に、着いた先は『La chérie(ラ・シェリエ)』と大きく看板を出したケーキ屋さん。
外見はちょっとボロくなっていて、いかにも個人営業な雰囲気をかもし出している。
でも中にはお客さんが数人いて、けっこう繁盛している様子。
「よしっ」
あたしは一人で小さく気合を入れ、お店のドアをゆっくり開いた。