だから、お前はほっとけねぇんだよ
――カランカラン♪
ふわっとあたしを包んだのは、ケーキの甘く優しい匂い。
「わぁ……」
……オレンジ色の照明が、店内を照らす。
外のボロイ感じとは違って、店内はスゴクおしゃれだ。
丸いテーブルが2つくらい並べられていて、どうやらココでケーキも食べれるみたい。
その横にあるケーキのディスプレイはヨダレが出るほどおいしそう。
ケーキ好きのあたしとしては何とも言えないほど……シアワセ。
「いらっしゃいませー」
爽やかな営業スマイルを向けてきたのは、30代後半(たぶん)のおばさん。
目元とかすごくクッキリしていて、若い頃は美人だっただろうと推測。
「ぁの……バイトの件で来た観月ですけど……」
強張った顔であたしがオズオズと話しかけると、おばさんは目をパチクリ。
……え?
不安になるのもつかの間、おばさんはすぐ笑顔を戻しあたしの手を取った。
「あら~、がっくんから聞いてるわよ!バイトに来てもいいんだって?」
「あ、はい‼是非とも」
「まあ、おばさん嬉しいわぁ~♪」
おばさんは本当に嬉しそうに、握っていた手をブンブン振り回す。
い、痛いんですけど……