だから、お前はほっとけねぇんだよ

名前を呼ばれて顔を上げると、そこにはスクール鞄を持ったがっくんの姿が。


「あ、がっくんおはよー」


「おはよう。バイト採用だったんだって?おめでとう」


「ありがとっ」



がっくんの柔らかな笑顔につられて、あたしもニヘラと笑顔を返す。



「ヒメちゃん、夏休みきっと楽しくなるよ」


「え?……何で?」


「それはお楽しみって事で。すぐ分かるよ」



がっくんはそう言ってフフッと企み笑い。

そんな彼に、あたしはただ首を傾げるばかり。


……???



「あ、琥侑」


「っ‼」



ふいに呟いたがっくんの言葉に、アタシは一気に緊張が走る。


「ああ、ガク……おはよ」


「おはよう」



目を擦りながらがっくんに朝の挨拶を言う琥侑は、明らかに眠そう。

時計に目を移すと、HRが始める時間まであと1分も無い。

< 79 / 399 >

この作品をシェア

pagetop