だから、お前はほっとけねぇんだよ
名前を呼ばれて顔を上げると、そこにはスクール鞄を持ったがっくんの姿が。
「あ、がっくんおはよー」
「おはよう。バイト採用だったんだって?おめでとう」
「ありがとっ」
がっくんの柔らかな笑顔につられて、あたしもニヘラと笑顔を返す。
「ヒメちゃん、夏休みきっと楽しくなるよ」
「え?……何で?」
「それはお楽しみって事で。すぐ分かるよ」
がっくんはそう言ってフフッと企み笑い。
そんな彼に、あたしはただ首を傾げるばかり。
……???
「あ、琥侑」
「っ‼」
ふいに呟いたがっくんの言葉に、アタシは一気に緊張が走る。
「ああ、ガク……おはよ」
「おはよう」
目を擦りながらがっくんに朝の挨拶を言う琥侑は、明らかに眠そう。
時計に目を移すと、HRが始める時間まであと1分も無い。