だから、お前はほっとけねぇんだよ

「……遅刻魔」


あたしは眉を細めて琥侑に向かって呟いた。



「……あ?」


……やばっ

独り言のつもりだったのにちゃんと琥侑に聞こえてたみたい。



「まだ遅刻じゃねぇよ。お前は時計もキチンと読めねーのか?」


「な゙っ‼」



いつもと変わらず、憎まれ口をたたく琥侑にあたしの怒りは急上昇。


あたしはガタンと音をたてて椅子から立ち上がり、琥侑に言い返す準備をした。

……が。


「姫瑚っっ‼‼」


「わぁ‼」



ゆっちにグンッと思い切り腕を引っ張られ、あたしは後ろに倒れそうになる。



「何!?今琥侑に言い返そうとし」
「バカ‼」



あたしが反論しようとすると、ゆっちはあたしよりもっと大きな声でそれを遮った。



「アンタそれ好きな人にする態度じゃない!」



琥侑を気にして、あたしにしか聞こえないボリュームで叱るゆっち。



ゔっ……


「そ、そうだけど……」

< 80 / 399 >

この作品をシェア

pagetop