だから、お前はほっとけねぇんだよ
声がした後ろの方にゆっくり振り返ってみると、そこには琥侑の姿。
「……なに?」
嬉しい気持ちを抑えて、あたしはわざと琥侑にそっけなく振る舞う。
「なにって……お前こそ何怒ってんだよ」
「別に。怒ってないもん」
店内にはお客さんは20代くらいの2人組の女の人のみ。
「まー別に良いけど」
「…………」
あたしは視線を落としている琥侑から逸らし、お客さんのほうを見る。
その2人……チラチラとこちらをチラ見している。
……視線の先は琥侑。
もしかして、この人たち琥侑目当てなの?
あたしの中で不安が募る。
「……ぉい。聞いてんの?」