だから、お前はほっとけねぇんだよ

すっかり自分の世界に入っちゃってたあたし。


「え‼あっ……聞いてない!」


「だから、お礼ちょうだい」



……お礼??

苛立っている琥侑にあたしは首を傾げる。



「誰の?何の?いつの?」


「俺の、バンソーコーの……忘れた!」


忘れたって……



「だから、考えとけ」


「あ、待って!」



用件が済んで家へと帰ろうとする琥侑を、あたしは慌てて呼び止める。



「……それマジなの?」


「誰が冗談でそんなこと言うか」



「じゃあな」と軽く右手を挙げて、いつもよりご機嫌な琥侑は家へと続くドアへと消えて行った。


……何なの、もぅ。

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