だから、お前はほっとけねぇんだよ
「お礼……ねぇ」
あたしはフゥっと溜息を一つこぼす。
ハッキリ言ってお金無いからバイトしてんだし……金が掛かるようなモノはあげられない。
それに、琥侑が貰って喜ぶ物なんてわからないしなぁ。
「ぁのー……?すみませぇーん」
ハッと我に返ると、目の前にはさっき琥侑を見ていた2人組。
眉を垂らし、オズオズとあたしに話しかけてきた。
「はっはい‼なんでしょうか?」
あたしは気まずいムードを切り替えようと、満面の笑みで対応する。
「あのー特製モンブランと、チーズケーキと……」
片方の女の人が欲しい商品を指差し、注文する。
「ショートケーキ、それぞれ2つずつください」
「かしこまりました。少々お待ち下さい」
慣れていないあたしはぎこちない手付きで、注文されたケーキをディスプレイから取り出す。