魔法と不気味な洋館の少女。
クロとシロ。
あたしの名前は、ない。
そう、名無しなの。
別に親から貰った名前なんていらないし、使わない。と、思う。
けど、名前はある。
あるけど、それは名前じゃない。
今でいうペンネームとか、愛称みたいなもの。
「クロ」
若い、若い女の人の声が私のいる部屋に聞こえた。
彼女は私のお義母さん。
義理だけど、生まれたときからいるからお義母さん。
「包帯、変えよーね」
包帯。嫌いだ。
あたしは病気だ。
別にうつるものでもないし、お義母さんは気にしてないみたい。
包帯をみると赤く爛れた脚。
そして、異臭。
もう、慣れっこ。
「・・・・・・・・・」
無言で包帯を変えている。
いや、とは見れない表情だった。
「できたわよ。あとはお薬ね」
さっきまで赤い脚が白い布に変わっていた。
そして、お薬。
あたしはのどもダメ。
え、なんでかって?
声が、声がでないから。