魔法と不気味な洋館の少女。
声がでないことは不便じゃない。
別に。
その代わり、文字が書けるようになったりして、逆に得かもしれない。
まぁ、知ったこっちゃないんだけど。
正直言って、あたしが嫌なのは脚と、喉ぐらい。
ちゃんと、手は動くし脳もちゃんと働いでいる。
げど、一番あたしが憎むなのはこの家の地位と歩けないこと。
歩けないのはわかる、仕方のないこと。
けどね、この家は貧乏人が集まる路地裏のような感じ。
食料もちゃんと行きわたってないし、毛布だって一枚だけ。
隣は餓死寸前で話しかけても返事はない。
そんなところに生まれてしまったあたし。
今更、金持ちになろうと思っても思うだけ。
「お仕事、行ってくるね」
お義母さんは立って街へ出て行った。
ああ、これからまた退屈な日々。
同じ本を永遠と読むだけ。
何回、読んだのだろうか。
それすら、覚えていないぐらい読んだということ。