魔法と不気味な洋館の少女。
リィン。
綺麗な、綺麗な鈴の音がした。
どこからだろう。
また、リィンと鳴くような音。
上の塀を見上げる。
猫だ。
綺麗く手入れされた白の毛並み。
目は青くて淡かった。
それに比べて、あたしは薄紫の髪に漆黒の黒。
正反対だった。
けど、白猫はずっとあたしを見ていた。
綺麗な目であたしの心を見ているようで。
「なあん」
男の子のような。けど、声の低い女の子のような声が聞こえた。
きっと、白猫が言ったのだろう。
別に。特に意味はない。
けど、そんな気がしただけ。
根拠はない、に決まってる。
「キミ、お義母さんは好きかい?」
また、白猫は口を開き、あたしに言った。
「嫌い」
あたしは正直に言ったつもりだった。
だったのに。
「だったら、ボクのとこに来ないかい?」
どうやって。
どうやってこの脚を動かすのだろ。
白猫は、できるのだろうか。
できたら・・・嬉しい。
けど、きっと嘘。
「ボクについておいで。じゃないと、死ぬよ?」
死ぬ。
死ぬってなんだろ。
この世に存在をなくすこと?
あたしがこの世を忘れること?
死ぬって結局なんだろ。
けど、白猫は言った。
ついておいでって。
どうしよう。