GREATEST JADE~翡翠の瞳に守られて~
華やかな顔立ちも、柔らかな笑顔も。

「ヴァンパイアが教会なんて、意外?」

律はバカにしたように私の眼を覗き込んで笑ったけど、私はすぐにこう答えた。

「別に。ニンニクも日光も効力ないって大体分かる」

「あっそ。だけど……日光は苦手だったんだよ。ファシネイティングブラッドを飲む前は」

律が懐かしそうに両目を細めた。

「ヴァンパイアになりたての頃は……日の光を浴びることが出来なくてね、活動するのはいつも日が沈んでからだった。……まあ、そんな昔話興味ないか……それより、指示通り携帯電話は置いてきただろうね?」

私はコクンと頷いた。

「送られてきた地図も消したし、私の携帯に律の痕跡はない」

「そう、良かった。こっちにおいで。……まあ、君がいなくなって暫くは騒ぎになるかもだけど、心配しなくていいから」

私の手を引いて、祭壇まで歩を進めた律がようやく足を止めた。
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