GREATEST JADE~翡翠の瞳に守られて~
「私はどうでもいいから、瀬里に手出ししないで」

「ああ、瀬里ちゃんね」

「暗示は解かなくていいから、もう瀬里とは会わないで」

私がそう言うと律は再び鼻で笑った。

「もう来てるよ、彼女なら。瀬里、入っておいで」

背中がビクンと震えた。

なんで……!

出入り口とは別の、祭壇近くのドアが静かに開いて瀬里が姿を現し、私は息を飲んだ。

「瀬里……瀬里!」

瀬里は私の声が聞こえないのか、まるで視線をあげなかった。

「もうすぐ儀式だからね。そろそろ清雪様が
ご到着する。……あ、なにか質問があればどうぞ」

律が銀色の燭台に歩み寄り、その蝋燭に火をともした。
< 138 / 293 >

この作品をシェア

pagetop