GREATEST JADE~翡翠の瞳に守られて~
「藍ちゃん、気分はどう?頭とか痛くない?」

「もう……平気……」

声は掠れていたけれど、瀬里は少しホッとしたように息をついた。

「よかった、眼が覚めて。……翠狼ってば物凄く心配してね、藍ちゃんのそばを離れなかったんだよ。水すら飲まないで付きっきりで、ついでに翠狼のことも心配になるくらいで」

あの雪野一臣が……私を心配?

その意味が……分からないけど。

でも……それを瀬里に聞くのもなんか……。

身じろぎしない私を不自然に思ったのか、瀬里が付け足すように言った。

「翠狼はきっと、藍ちゃんの精神状態を心配してるんだと思うんだ。律くんがヴァンパイアってだけでも普通の人間の藍ちゃんにとっては凄く大きな事なのに……」

瀬里はそこで口を閉ざして俯いた。
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