GREATEST JADE~翡翠の瞳に守られて~
「翠狼。人狼族の中でファシネイティングブラッド(魅惑の血)を持つのは、恐らくお前だけだ。マリウスは絶対に狙ってくるぞ」

心臓が止まりそうになって、私は思わず眼を見開いた。

……嘘。

そんな……。

翠狼も、魅惑の血の持ち主なの?!

カグヤさんが心配そうに言った。

「ねえ星狼、本当なの?!人狼族の魅惑の血を飲んだヴァンパイアは、私達を越えるって」

星狼と呼ばれた男性は、ホッと息をつくと静かな口調で話し出した。

「うちに代々伝わっている文献によれば、偉大なるヴァンパイアは人狼の血を飲んだヴァンパイアからじゃなきゃ生まれない。14世紀の初めの事だが……魅惑の血を持って生まれた人狼の赤ん坊がヴァンパイアにさらわれたらしい。その赤ん坊の血を飲んだヴァンパイア夫婦がひとりの子供を産んだんだ。それが《偉大なるヴァンパイア》と呼ばれているらしい。あくまでこれは想像だが、偉大なるヴァンパイアが再び人狼の魅惑の血を口にした際にはより強大な能力が開花するんじゃないかと懸念されている」
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