GREATEST JADE~翡翠の瞳に守られて~
「ヴァンパイアに子供はもうけられない筈でしょ?!それも人狼の魅惑の血のせいなの?!」

「恐らくな。それから」

星狼は一瞬黙り込んだ後、またしても驚くべき言葉を発した。

「記録によるとその赤ん坊の名は、マリウスだ」

誰もが息を飲むのが分かった。

心臓が一際ドクッと音をたてた後、全身から力が抜けそうになった。

ダメだ、まだダメだ。

私は歯を食いしばって足の指に力を入れた。

「マリウスは何処にいる」

「剣狼に後をつけさせたら、郊外にある老舗フランス料理店に身を隠しているらしい。住所は、」

私はその住所を頭に叩き込むとソッと踵を返した。
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