GREATEST JADE~翡翠の瞳に守られて~
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どうすればいいんだろう。

私はベッドから降りるとそっと窓を開けた。

身を乗り出すと青白い小さな月と眼が合い、溜め息がこぼれる。

「ねえ、どうすればいい?」

一体何度目だろう。月を見上げてこう問うのは。

月は相変わらず冷たく光るだけで返事を返してはくれない。

私は月から視線を落として広い庭を見つめた。

翠狼が……私と同じ魅惑の血の持ち主だったなんて。

皆の話では、人狼の魅惑の血は生粋の人間である私の魅惑の血よりも力があるらしかった。

マリウスは、本当に翠狼を狙うのだろうか。

だとしたら……彼はどうなるの?人狼の皆は?

私は教会でのヴァンパイアと人狼の闘いを思い返して眉を寄せた。

あの時、翠狼の仲間は私を助けてくれた。
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