GREATEST JADE~翡翠の瞳に守られて~
「山下くん、助けて」

「無理!俺は殺されたくない」

そ、そんな……。

切って捨てるように山下くんが言葉を返したから、私は冷や汗の出る思いで翠狼を見た。

ど、どうしよう。なんで怒ってるんだろう。

狼狽えて足を止めた私の頭を、山下くんがポンポンと優しく叩いた。

「秀才だけど男心に疎すぎるんだよ、お前はっ!ああ、しゃーねーな!命懸けギリギリでお前の恋を応援してやる」

「えっ?!ギリギリ?!」

意味がわからず山下くんを見上げると、なんと彼は私をガシッと抱き締めて顔を斜めに傾けた。

「松下。このまま五秒我慢しろ」

「えっ」

山下くんの唇が近くて驚きのあまり眼を見張る私に彼は続けた。

「この事を突っ込まれたら、『どうしてそんな事いうの?』って、口元に両手を添えてウルウルの上目遣いで彼を見つめろ」

「ええっ」
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