GREATEST JADE~翡翠の瞳に守られて~
なんで?どうして?

ただでさえ怒ってるっぽいのに、そんな事言うと余計嫌われるんじゃ……?!

その時、山下くんが私から身を起こして踵を返した。

「うわっ、来たっ!もう限界!じゃあな、松下!俺は殺される前に逃げる!」

「あっ、山下くんっ」

物凄いストライドで山下くんは走り去り、そんな彼の背中を見ていた私は、急に腕を引かれて後ろへひっくり返りそうになった。

「きゃっ」

「来い」

「あ、あの翠狼、わた」

「チッ!」

今までの人生で聞いたことがない大きな舌打ちが耳に届き、何がなんだか分からない。

でも私は翠狼に腕を掴まれて半ば走るようについていくしかなかった。

「乗れ!行き先は俺の家だ」

翠狼は素早く助手席のドアを開けると私をギロリと見下ろした。

「……」
< 283 / 293 >

この作品をシェア

pagetop