GREATEST JADE~翡翠の瞳に守られて~
翠狼が両腕を私の腰に回して一層引き寄せた。

「お前は俺を誰だと思っているんだ」

……え。

「あ、の……」

戸惑う私に、翠狼が低い声を出した。

「こんな指輪などなくても、お前は俺が守ってやる」





《お前は俺が守ってやる》





……嘘みたいだと思った。

男らしい眉の下の、凛々しい眼がまっすぐに私を見下ろしていて、私は信じられない思いで翠狼を見上げた。

呆然とする私を、翠狼が優しく抱き締めて続ける。

「……絶対に告げないでおこうと思ってた。こんな気持ちを胸に抱くのは間違ってると何度も思った。俺は……人狼だから」

翠……狼……?

「好きだ」

……え?

「俺はお前が好きだ」

一際鼓動が跳ねて息が止まりそうになりながら、私はその言葉を聞いていた。

……翠狼が……私を……?嘘……。

首筋に翠狼の息がかかり、耳に切な気な声が流れてくる。

「何度も気持ちを圧し殺そうとしたが、この先もうお前と関わりがなくなり、お前が誰か他の男を選ぶ日が来ると思ったら……我慢できなかった」
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