GREATEST JADE~翡翠の瞳に守られて~
瀬里が何か言いたげだから私は彼女の言葉を待ったけれど、どうにも上手く言葉に出来ないらしく瀬里は口ごもった。

「……なに?」

「えっとそのあの」

…………。

元々、瀬里は口数が多いタイプじゃない。

三年になって同じクラスになり、初めて知ったけれど、彼女は目立たないタイプだ。

そんな瀬里は地味で少し不思議な雰囲気を持っているけれど、何故かクラスのみんなには好かれていて、私も勿論嫌いじゃない。

……でも、話すのはいつも遅い。

その時、

「ああ!まどろっこしい!」

「わっ、翠狼っ」

瀬里の慌てた声に咄嗟に振り返ると、ジーンズに両手を突っ込んだ雪野一臣が苛立たしげな様子で私達を見下ろしていた。
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