GREATEST JADE~翡翠の瞳に守られて~
「お前に任せると埒があかん」

そう言いながら舌打ちをした雪野一臣を見上げて、瀬里が焦って口を開く。

「ちょっと待ってよ翠狼。こういう事は、た、単刀ちょく、ちょく、直腸じゃなくてその、単刀直……単刀……」

雪野一臣が私をじっと見つめた。

「単刀直入に訊くが、昨日の男とは知り合いなのか」

「そう、それ。単刀直入……」

瀬里の申し訳なさそうな小さな声を無視して、雪野一臣は続けた。

「女、早く答えろ」

『あの男』の予想は直ぐについた。

恐らく雪野一臣は、昼食を食べずに飛び出した私を追い掛けてきたのだと思う。

そこで沢村律と私のやり取りを見たんだ。
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